写真:綿貫敬介さん
NPO法人聴導犬育成協会理事長
萩原美奈津さん

みなさんは“聴導犬”をご存知ですか?「盲導犬なら聞いたことあるけど・・・」という方も多いかもしれません。今回は長崎県大村市で聴導犬を育成している、NPO法人聴導犬育成協会理事長の萩原美奈津さんにお話を伺いました。

聴導犬って?

萩原さん、まず“聴導犬”とは何か教えてください。

“ほじょ犬”という言葉をお聞きになったことがありますか?聴導犬・盲導犬・介助犬を総称してほじょ犬(身体障害者補助犬)といいます。この犬たちは、2002年に施行された身体障害者補助犬法に基づき認定された犬で、特別な訓練を受けています。聴導犬は、耳が不自由な方と一緒に生活し、色々な音を聴いて手助けをします。

萩原さんのところには、身体障害者補助犬法に基づいて認定された聴導犬がいるとの事ですね。

「武(たけ)」といいます。現在日本で活躍している聴導犬は30匹程度しかおらず、武はその中の1頭です。

全国で30頭ですか?もっと多いかと思っていました。

どんな犬でも聴導犬になれるわけではありません。聴導犬はペットではないので、自分で判断し行動する賢さも必要となります。そして何より、人間を好きであることが大前提です。24時間一緒ですから、「仕事」と捉えてユーザーのそばにいるのでは犬にもストレスがかかります。重要なのは、犬自身がユーザーのそばにいることを望むことです。その条件をクリアする犬が本当に少ない上に、その他にも色々な訓練を積まなければなりません。

聴導犬チロと一緒に

社会での聴導犬の認知度はどうですか?

まだまだ低いですね。ユーザーになるために訓練を受け、厳しい審査に通ったのに、実社会では認知度が低くあまりメリットがない、と聴導犬ユーザーに感じさせないように、もっと広くアピールしていかなければと思っています。

講演やイベントもしていらっしゃるとか。

地元の小学校などで、聴導犬とは何か、誰のために必要か、なぜ必要なのかをお話しています。正確な情報をできるだけ広く知ってもらうために、うちの看板犬であるチロと一緒に講演させてもらっています。チロは『聴導犬』と書かれたオレンジのベストを着るとお仕事モードに入るのですが、一度講演中にベストを着せ忘れて、私の横に座っているはずが、お客さんの間をトコトコと歩いてました(笑)

想いを届けるために

なぜ聴導犬を育成しようと思ったのですか?

私は以前、愛知県でドッグインストラクターをしていました。マスターヒアリングドッグトレーナーという資格(アメリカで取得)を持っているのですが、ただ犬を訓練するだけではなく、人と犬との相性や生活環境まで把握するなど、「人」と「犬」に深く関わります。そこで犬には人を癒す力が大いにあることを再認識し、人を癒し、しかも生活の手助けをする聴導犬を育成しようと思いました。こんなにいい仕事はない!って。


その行動力の源は何ですか?

私たちは不便なことがあると、それを改善しようとしますよね。その選択肢は多ければ多いほどいい。難聴の方はきこえに不便を感じている。それの手助けをするものが聴導犬であり、補聴器であり、手話なのだと思います。何もひとつに絞る必要はありませんよね。聴導犬と一緒にいることで、自分の世界が広がる楽しみを知ってほしい!そのためには社会の理解が必要不可欠です。健常者にもっと聴導犬のことを知ってもらいたい、理解してもらいたいという想いが、私の活動の原動力となっています。

九州・山口のリオネットセンターでは、聴導犬育成協会の活動を支援する募金箱を店頭に置いています。私たちリオネットセンターも、聞こえのお手伝いをしたいという想いは同じです。萩原さんのまっすぐな想いが伝わるインタビューに胸が熱くなりました。ありが とうございました!