写真:中野さん リオン株式会社 医療機器事業部
第一開発部 補聴器開発一課
中野 達也さん

2017年8月に発売したリオネットシリーズは、万を持して’リオネット’のブランド名を冠した新たな最高峰シリーズ。これまでとは全く異なる新世代の補聴器です。
リオン株式会社の補聴器開発部門の中でも、リオネットシリーズの誕生になくてはならない存在であったという中野達也さんにお話しを伺いました。

リオンで仕事をされることになったきっかけは?

小さい頃からものづくりが好きで、将来はメーカーで働きたいと思っていました。
リオンとの出会いは、学校の会社見学のイベントでリオンに訪れたときでした。
就職活動の時期になったとき、たまたまリオンの人事の方が学校に訪問され、改めてお話を聞いたところ、自分に合っていそうな会社だと思い、入社を志望しました。
小さい頃から楽器をやっていたので音に興味があったことや、人の役に立つ仕事がしたいという想いと、リオンの「音に関連する製品で社会に貢献する」という考えがマッチしたのだと思います。

リオンではどのようなお仕事をされていますか?

写真:中野さん

私が所属している補聴器開発一課は製品開発のまとめ役であり、製品開発プロセスを回していくことが私の役割です。
具体的には、まず初めにどのような補聴器を作るかという仕様を決めます。
次にその仕様に基づいて補聴器の設計・試作を行います。その部品の中では主に電気回路、プリント基板設計などに携わっています。
試作品ができたら当初の仕様を満たしているか、社内の品質基準を満たしているか、医療機器である補聴器としての要求事項に適合しているかなどの検証をします。

リオネットシリーズのコンセプトは?

リオネットシリーズのコンセプトは「自然な聞こえ」です。
デジタル補聴器になってから、ハウリングキャンセラーや雑音抑制などの多くの機能によって、補聴器を快適に装用できるようになりました。その反面、デジタルが故に聞こえに違和感が生じる場合もありました。リオネットシリーズはそういった違和感をできる限り払拭し、自然な聞こえを追求した補聴器です。
また新しいケースであるHB-A3とHB-A5のコンセプトは「使いやすさとスタイリッシュの両立」です。スタイリッシュなデザインの中に使いやすい工夫を取り入れ、自然な操作感でストレスなくお使いいただけます。

写真:HB-A3

シリーズの名前に「リオネット」を冠した想いは?

写真:中野さん

このシリーズ名は約30のアイデアから検討を重ねて決定しました。この中には国産をイメージする"和"なものから奇抜な造語まで様々でしたが、最後に残ったのが「リオネット」でした。
これはマーケティング調査にも基づいています。そこでの調査結果は、補聴器をお使いになっている方は、ご自身が使われている補聴器のメーカー、ブランド名をご存じないというものでした。そこでシリーズ名称を「リオネット」とすることで、リオネットに愛着を持っていただき、リオネットが補聴器の代名詞になって欲しいという願いを込めています。
また、今回の新シリーズはハードウェアもソフトウェアも、これまでとは全く異なる次世代の補聴器です。補聴器で最も重要な「聞こえ」にこだわり、これこそがリオネットであるという想いもあって、このようなシリーズ名に決まりました。

従来の補聴器とはどのようなところが違うのですか?

自然な聞こえを目指すための大きな改良点のひとつが「時間遅れの低減」です。
デジタル補聴器は、マイクに入った音がイヤホンから出力されるまでに、ごくわずかな時間遅れ(タイムラグ)があります。そのわずかな時間遅れによって「音が響いて聞こえる」「音がはっきりしない」など、音質に違和感を訴える方がいらっしゃいます。
そこで新たに開発したのが音声処理ユニット「リオネットエンジン」です。次世代のICチップを採用し、補聴器の核である音声処理アルゴリズムを一から見直すことで、時間遅れを低減することができました。
ハウリングキャンセラー、雑音抑制機能、音声強調機能(SSS)も改良を行い、従来機種よりも自然な聞こえを追求しています。モニター結果からも、従来機種よりも自然な聞こえであるという評価をいただいています。
そして、新機能の「残響抑制」があります。例えば講演会場などの音が響きやすい環境では、残響音が本来聞きたい音の邪魔をすることがあります。特に難聴者は残響が多い環境下での聞き取りが難しくなると言われています。この機能は不要な残響音を低減し、言葉を聞き取りやすくするための機能です。ぜひこちらの機能は実際に体感していただきたいです。

ご苦労されたところはどのようなところでしょう?

補聴器は他の製品にはないくらい小型で精密であるため、実際に試作するまで問題がわからないことが多いです。そして、新規性が高ければ高い製品であるほど、試作時にもそれだけ多くのトラブルが発生します。
今回はハードもソフトも新規性が非常に高い製品であったため、毎日がトラブルの連続で、原因究明とその解決までにはかなりの時間を要しました。
しかし、そういった挑戦がなければ、問題に直面することもありません。それを乗り越えてきたみんなの努力が、製品の魅力や品質の高さに繋がっていると信じています。

お客様へメッセージをお願いします。

リオネットシリーズは私たち補聴器開発課だけでなく、リオンが一丸となって作り上げた製品です。補聴器として最も大切な「聞こえ」にこだわった製品で、高いデザイン性も魅力となっています。まずは店頭でお手にとっていただき、そして試聴で音質の良さをぜひご体験いただきたいです。